アーク溶接用シールドガス適正化装置 第1話  担当 赤尾恭央

2016年02月15日

アーク溶接用シールドガス適正化装置「レギュラシステム」

  「レギュラシステム」は、ガスシールドアーク溶接に使われるシールドガスの使用量を大幅に削減する装置で、2000年代初めにスウェーデンの企業が開発し ました。その大幅なガス使用量及びコスト削減効果が反響を呼び、全世界を舞台に販売が開始され、現在世界中で数万台が稼働中です。そして、ここ日本でも 2010年より販売が開始され、2015年10月現在で100社様に合計1,500台以上ご使用頂いております。

 

写真.「レギュラシステム」外観

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RS001-02

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写真1.レギュラシステム用ACアダプタ写真2.レギュラシステム本体写真3.シャント(電流センサ)

 

4つのSaveで無駄ガスをカット

  「レギュラシステム」はシールドガスの使用量を大幅に削減する装置と言いましたが、一体どんなカラクリで削減するのでしょうか?そのポイントは、「無駄ガス」にあります。以下に、「レギュラシステム」の4大特長について説明します。これらの特長が組み合わさることにより「無駄ガス」をカットし、大幅削減を 実現するのです。

 

① 突出ガスを抑える

 「突出ガス」とは、溶接開始時 に設定流量よりも多くのガスが吐出されてしまう現象で、溶接開始後1~2秒間に勢いよくガスが流れてしまいます。溶接全体から見ると、2割前後が突出ガス になると言われています。このガスは、溶接品質とは直接関係の無い「無駄ガス」で、これを抑えるだけで現状比2割程度は削減出来る可能性があります。

図.ガス流量波形比較

レギュラシステム未使用時

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レギュラシステム使用時

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図中、赤色波形は電流値(A)、緑色波形はガス流量(L/min)を示す

 

② 溶接電流に追従してガス流量を変化させる

 「レギュラシステム」には「シャント」(写真3)と呼ばれる電流センサが付属しており、溶接電流を検知しながら最適な流量を自動制御しています。溶接電流に比例して流量を増減させますので、同一ワーク内に複数の溶接条件がある場合、ビード毎に流量を最適化することで「無駄ガス」を無くします。

 

③ パルス式ガスフロー

  ガス流を脈動(パルス)させることでシールド性を良好にし、より少ないガスで同じ溶接品質を維持します。ガスの塊をアーク直下に力強く吹き付けるイメージ です。下の動画を参照下さい。また、この「パルス式ガスフロー」には興味深い秘密が隠されています。それは次回でお話しますので、ご期待下さい。

動画.ガスフロー比較
通常ガスフロー
パルス式ガスフロー

 

④ 超高速バルブ開閉

  同一ワーク内に複数の溶接ビードがある場合、第1ビードを終え第2ビードへ移動する際、通常のガスバルブのみだと開閉速度が遅いために、ガスが流れっぱな しになっています。これも溶接品質とは直接関係の無い「無駄ガス」です。「レギュラシステム」は、溶接終了時のアフターフローを流し終わると同時にバルブ を高速で閉じ、流れっぱなしの無駄ガスを極力抑えます。つまり、1ワーク当たりのビード数が多いほど、流れっぱなしの無駄ガスを抑えてガス使用量を削減で きるということです。目安として5ビード以上あると、大幅な削減効果が期待できます。

 次回は、本文中で触れた「パルス式ガスフローの興味深い秘密」についてお話しますので乞うご期待!

 

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