第10回 新光機器を知ろう~2026年アメリカにおける製造現場の実態~

2026年06月15日

SHINKO USA, Inc. 社長のNTです。

アメリカは古くから「変化の国」と言われており、現在も製造業をはじめとするあらゆる業界にさまざまな変化の波が押し寄せています。

ご存じのとおり、大統領選挙後の政策見直しにより、関税やインフラ投資の方向性は大きく揺れ動いています。
当社においても、こうした影響を受け、価格の変動やその頻度に対して慎重な姿勢を示されるお客様が多いことから、価格の安定化に向けた検討を進めてまいりました。
今後も受注への影響を最小限に抑えるため、大型発注の推奨などを含め、柔軟な対応を図っていく方針です。

また最近では、アメリカ製造業において「メキシコ経由の生産体制」が注目を集めています。
これまで中国や東南アジアで盛んに行われてきた生産は、高関税の影響を受け、その優位性が揺らいでいます。
その代替策として、メキシコで最終工程の直前まで製造を行い、仕上げのみをアメリカ国内で実施することで「Made in USA」として販売する手法が広がっています。
これにより、人件費や生産コストを抑えつつ、高付加価値を維持することが可能になります。
さらに、昨今の国際情勢の影響による海上輸送の遅延や燃料価格の高騰も、この動きを後押しする要因となっています。当社としても、これらの変化を学びとして捉え、今後の戦略に活かしていきたいと考えています。

このように、時代の変化に応じて供給体制は日々試行錯誤を重ねています。
一方で、アメリカの溶接業界に目を向けると、深刻な人材不足という課題を抱えながらも、現場の空気は意外にも前向きです。


現在、溶接教育の現場は活気に満ちています。技術学校では溶接コースの定員拡大が進み、コミュニティカレッジでは新たなプログラムの設立も相次いでいます。
一例として、溶接関連分野の就職率はほぼ100%に達し、需要も10%以上の伸びを見せています。
初任給についても、全米の大卒平均が約860万円であるのに対し、短大卒の溶接関連職でも約700万円と、高い需要がうかがえます。
加えて、AIを活用した溶接検査や自動化設備の導入も急速に進んでいます。
こうした動きからは、アメリカ製造業界に「変化を前向きに受け入れ、楽しむ空気」が根付いていることが感じられます。この潮流は、日本企業にとっても大きな示唆を与えてくれます。

アメリカ市場では、技術者に求められるスキルが確実に変化しています。
従来は「溶接ができること」が一つのゴールでしたが、現在では、加工・図面理解・品質管理までを含めた総合力が求められています。いわば、幅広い役割を担える“Utility Player(オールラウンダー)”の存在が重視されているのです。
AIの進化により、高性能・高精度なアウトプットが求められる時代だからこそ、人材にも企業にも「一つに特化する」だけでなく、「全体最適で対応できる力」が必要とされています。
私たちのようにアメリカを拠点とする企業には、現地製造現場の“今”を的確に捉え、日本の本社へ迅速に伝える役割がこれまで以上に重要になります。

2026年は、アメリカ製造業界にとって再び大きな転換点となる年です。
SHINKO USA, Inc.は、時代の変化とともに成長を続けてまいります。
その中核として、新光機器株式会社 本社と想いを一つにし、創業者・経営陣・社員の皆様が大切にしてきた価値を、ここアメリカでもぶれることなく体現し続けていきます。
同時に、未来への可能性と柔軟性を持ち、新たな挑戦にも積極的に取り組んでまいります。
政策の風に揺れながらも、教育現場の熱気と技術革新が、溶接業界の未来を確かに照らしている――そのように感じています。

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