山形県老舗精密加工メーカー「リュー精器」が選んだ未来― M&Aから1年、現場で起きている静かな変化 ― 後編
2026年02月16日
2024年12月26日、リュー精器株式会社が新光機器グループの一員となりました。
それから約1年、リュー精器株式会社の歩みと現状について取材しました。
■現場の声
M&A後、リュー精器では経営面・技術面でさまざまな改革に取り組んできました。 こうした変化を受け、現場の社員はどのように感じているのでしょうか。 高校卒業後に入社し、20年間勤め続けている社員の方にお話を伺いました。
「リュー精器に入社してから20年間、一度も転職を考えたことはありません。 ものづくりが特別得意というわけではありませんが、職場の雰囲気が自分に合っていると感じています。 M&A後は新光機器からの依頼が増え、失敗できないというプレッシャーや責任感がより強くなりました。 現在はプラスチック樹脂の穴あけや溝加工を担当していますが、プレッシャーに負けず、新しい試作品にも積極的に挑戦していきたいと思っています。」
製造部主任にもお話を伺いました。
「新光機器グループの一員となり、愛知県にある新光機器 名古屋第一工場の見学に参加しました。他社の工場を見学するのは初めてでしたが、明るさや清潔さ、管理の行き届き方など、自社との違いに驚きました。それ以来、職場環境への意識が大きく変わり、これまで手が回っていなかった清掃にもこまめに取り組むようになりました。」
最後に、遠藤部長に製造部全体の今後の目標を伺いました。
「新光機器からの依頼増加に伴い、これまで全体の3割ほどだった角物加工の比率を増やしていきたいと考えています。 個人ではなく製造部全体でこの目標に取り組むため、新光機器から受ける仕事を通じて、各作業員のスキルアップを図っていきます。 いただいた依頼はすべて受ける――そのくらいの気持ちで業務に励んでいます。」

*専用コレットチャック:
加工部品の最終仕上げを行うための各部品専用の把握用治具。
1,000点以上の特殊形状製品を取り扱うリュー精器では、仕上げ精度をさらに高めるため、これらの治具を部品ごとに社内で設計・製作しています。
■今後の展望
リュー精器に常駐してから1年、数多くの課題と向き合いながら改善策を模索し続けてきた杉山常務。 新光機器グループ内でのリュー精器の役割について、杉山常務は次のように語ります。
「当社は鉄物単品を中心に、付加価値の高い部品の製作を担当しています。 単品加工を得意とする国内企業が減少しているため需要は高いものの、現状では十分な付加価値を生み出せていない点が課題です。 また、製造業界全体に共通する技術者不足の問題についても、当社は深刻に受け止めざるを得ない状況にあります。
数物の依頼が来た際には、同時期に新光機器グループへ加入した株式会社アプトへ受け渡すようにしています。 グループ内での役割分担は明確になってきていると感じています。」
新光機器グループ加入直後、「山形から世界へ」を掲げ始動したリュー精器。
「2025年5月、新光機器本社にて、全グループ会社の代表・責任者が一堂に会する『ワールド会議』が開催されました。 この会議での交流を機に、SHINKO USA, INC.との直接取引の機会をいただくこととなりました。
3D加工をはじめとする高難度の加工品の製作や、インボイス・関税などの事務手続きに取り組む中で、当社にとって初めての海外取引は大きな経験となりました。」
最後に、会社としての中長期的なビジョンについて伺いました。
「【楽して三億!】 この言葉だけを聞くと強いインパクトがありますが、決して“ただ楽をする”という意味ではありません。私のモットーは『楽しく働く』です。何事も楽しさがなければ続きません。だからこそ、楽しく働くために力強く、時に厳しく取り組み、【楽して三億!】の達成を目指しています。
三億という数字は、リュー精器史上過去最高売上を大幅に超える挑戦的な目標です。これまで以上に進化したリュー精器を皆様にお届けできるよう、全力を尽くしてまいります。」

■リュー精器のススメ
広報担当にとって、今回の取材は山形初上陸となりました。 そこで、リュー精器の皆さんに山形の名物を教えていただき、実際に足を運んでみました。
★よう山亭
リュー精器から車で5分ほどの場所にあるレストラン。 米沢牛を中心としたメニューが多く、観光客にも人気のお店だそうです。
杉山常務いわく、「社員御用達(にしたい)店」とのこと(笑)。
米沢牛の牛丼やローストビーフ丼が次々と運ばれてくる中、私は米沢牛の鍋焼きうどんを選びました。

とても豪華で、ボリューム満点です。早速、米沢牛をいただきます。
柔らかくてほんのり甘く、脂がのっていてトロトロ。思い出しただけでまたお腹が空いてきます。
★龍上海
「龍上海」と聞いて、ピンとくる方もいるのではないでしょうか。 テレビでも紹介される、山形の有名な“からみそラーメン”のお店です。
事前調査で「とんでもなく並ぶぞ」と杉山常務に脅されていた新光機器一行。 開店の11時ちょうどに着くよう向かったところ、平日にもかかわらず2か所ある駐車場はすでに満車。 店の外には長蛇の列ができており、この日は泣く泣く断念しました。
がっかりしたまま迎えた二日目。移動中、開店30分前の龍上海(1日目とは別店舗)の前を偶然通りかかると、なんと誰も並んでいない!
これは並ぶしかないと、雪がちらつく中、外で待つことに。
開店15分前にふと後ろを見ると、すでに1日目と同じような長蛇の列ができていました。

ありがたい龍上海ラーメンのお写真です。 実は、からみそラーメンが少し苦手だった広報担当ですが、一口食べてみると――
うまい!!!
濃厚でまろやかなスープに辛味噌が溶け、麺とよく絡んで口いっぱいに旨味が広がります。
青のりが良いアクセントになっていて、最後まで飽きずに食べられました。
これまで自分が食べてきたからみそラーメンとは明らかに別物で、衝撃的なおいしさでした。
これに出会わずに帰っていたかと思うと、ぞっとします。山形に行く際はぜひ足を運んでみてください。
★上杉神社
山形県米沢市にある、戦国武将・上杉謙信を祀る、市内でも有名な神社です。
実は出張前、社長と2人で「雪が積もった上杉神社」のとても綺麗な写真を見て、 「雪が降ったらいいね〜」なんて話をしていました。
とはいえ、そんなに都合よく雪が降るわけもなく…。

降ってる!?
名古屋ではなかなか経験できない、一面の銀世界が広がっていました。
朝方は大吹雪で、車もノロノロ運転でしたが、上杉神社に着く頃にはすっかり晴天になっていました。

白と青のコントラストが美しく、まるで現実とは思えない風景に心が癒されました。 風に揺られて木の葉から落ちる雪が、太陽の光を受けてキラキラと輝き、幻想的な空間をつくり出します。
この美しさが写真ではなかなか伝わらないのが悔しいところです。
いかがでしたでしょうか。
今回の取材を通して、リュー精器の皆さんの温かさと、山形が持つ魅力に触れることができました。
取材当日、社員の皆さんが明るく迎えてくださったこと、そして仕事以外でも楽しそうに会話を交わしている姿がとても印象的でした。
「楽しく、ポジティブに働きたい」という言葉は、単なる理想ではなく、皆さんの表情や空気感から自然と伝わってくる“実践されている価値観”でした。 その姿を目の当たりにし、私自身も仕事との向き合い方を改めて見つめ直すきっかけをいただきました。
グループ会社として、これからも互いに刺激を与え合いながら成長していける関係でありたいと感じています。
リュー精器の皆さん、この度はご協力をいただき、本当にありがとうございました。
