一代で築いた50年 想いを繋いで100年へ
2025年10月23日
新光機器株式会社 代表取締役社長の田中です。
当社ホームページのリニューアルを実施して、2年の歳月が経ちます。
日頃よりご愛顧のほど、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。

去る9月29日(月)、当社創業者である代表取締役会長 蕗澤武夫が享年86歳で永眠いたしました。
蕗澤家・新光機器株式会社合同葬 10月2日(木)通夜式・10月3日(金)告別式、葬儀はつつがなく執り行い天に召されました。
葬儀には、得意先様・仕入先様および古くからお付き合いのある皆様と、当社国内社員、海外グループ会社全社長と数多くのご参列をいただくと同時に、会場内に納まりきれないほどの供花や読み切れないほどの弔電など多数頂戴いたしました。
故人が多くの方々から愛されていたことが伺われると同時に、ご参列並びに供花・弔電を頂戴した皆様、また故人が生前よりご愛顧いただきましたすべての方々に心より御礼申し上げます。
本稿は、故・蕗澤武夫を偲び、その功績を顧みる一助として執筆いたします。
新光機器株式会社は、蕗澤武夫会長によって創業され、現在では国内19事業所、ならびにグループ会社10社(国内4社・海外6社)を擁するグローバル企業へと発展を遂げました。一代にして、かくも大きな企業体へと成長を遂げられたその卓越した手腕には、謹んで敬意を表するものであります。
また溶接用電極を中心とした溶接業界、ひいては社会・経済の発展においても果たされた役割は大きく、その功績は今日に至るまで色褪せることなく語り継がれております。
創業当時では珍しい独自のビジネスモデルを掲げて半世紀走り続けてまいりました。
- 三直・・・直接仕入・直接加工・直接販売
- コンビニ方式・・・得意先様の近くに事業所を設けて小回りを活かした活動実施
- 溶接技術サポート・・・単なる物売りではなく、溶接現場の困り事に対し技術を用いて改善・解決
- オリジナル商品・・・得意先様の問題を解決するため、他社にない商品を開発・販売
これらの実現に向けて、製造工場および営業所の設置、溶接技術者の採用、実験設備の整備、さらには海外市場への進出を通じて、着実に事業の拡大を図ってこられました。
決断力にも秀でておられました。アメリカ法人立ち上げ前に「1年間市場調査実施」の話を持ち掛けた際、「1年がもったいない。今すぐ現地法人を立ち上げろ」と早急にアメリカ法人を立ち上げ、結果的に2年目で単月黒字が出始め、3年目には年間を通して黒字決算となりました。
市場調査を行っていた場合、黒字化実現は先延ばしになっていました。様々な要因・背景が重なったタイミングで臨機応変に決断されたことが成功に繋がったと感じております。
しかし、事業活動が常に順調であった訳ではなく、2008年に世界的金融不安リーマンショックの際当社も大きな打撃を受け、売上金額・社員・営業所など当時の半数にまで減少し、苦しい時期もありました。
この経験を通じて「同じことを二度と繰り返してはならない」という強い想いを抱かれ、蕗澤会長は〈ワンチーム・ワン家族〉という言葉を、まるで口癖のように繰り返すようになりました。

昨年度は、創業50周年という節目の年であり、本年5月には、国内外の責任者を一堂に会した初のワールド会議を開催いたしました。
中には、久しぶりの再会に笑顔を見せるメンバーもおり、場の空気は一層温かみを帯びました。
会議では、「創業50年を過ぎた今、改めて創業者の想いを共有すること」が中心となりました。
参加メンバー全員が改めて蕗澤会長の想いを再認識し、各自の経営・運営に役立てています。
今にして思えば、国内外の責任者と直接顔を合わせることができたのは、蕗澤会長にとっても、かけがえのない最後の思い出となったのではないかと感じております。
この難局の時代に蕗澤武夫会長はおりません。残された私たちは、社員全員一丸となって立ち向かっていかなければなりません。
蕗澤会長が【創り上げた歴史と遺産】そして【時流に沿った新たな展開】で、新光機器株式会社を存続・発展させ創業100周年を迎えることが、蕗澤会長への唯一の供養と考え、邁進してまいります。
皆様方におかれましても、引き続き新光機器株式会社ならびに新光グループへのご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。