商標とは?~基礎編~

2025年07月15日

特許室のU.Kと申します。今回は商標について説明していきたいと思います。

商標法第1条には、「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」とあります。
商標制度は、事業者が取り扱う商品や役務(サービス)を他人(他社)と区別するために付されるマークである商標を保護するものであります。その商標が付された商品やサービスの出所を表示する機能品質を保証する機能及び広告機能(商標の三大機能)を持たせることにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図ることを通じて、産業の発達に寄与し、一方で需要者の利益を保護しようというものです。

【保護対象】
商標法第2条に規定する商標、すなわち、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務(サービス)について使用するものを保護の対象とします。
弊社では商品名や、会社のロゴマーク、マスコットキャラクターも商標登録しています。

反対に保護の対象外になるものもあります。
1. 自己の商品・役務と、他人の商品・役務とを区別することができないもの
例として、「商品・役務の普通名称・慣用商標」「商品の産地等」「ありふれた氏又は名称のみを表示する商標」、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標(1文字及び2文字の商標)」等があります。

2. 公益に反する商標
例として、「国旗と同一又は類似の商標」や「公序良俗を害するおそれ(放送禁止ワード)がある商標」等があります。

3. 他人の商標と紛らわしい商標
他人の商標と紛らわしいかどうかは、商標同士の類否と、商品・役務同士の類否の両方をみて判断します。商標の類否判断にあたっては、「商標審査基準」に従って、基本的に商標の外観(見た目)称呼(呼び方)観念(意味合い)のそれぞれの要素を総合的に判断します。

引用元:特許庁HP

<フランク三浦事件>
スイスの高級腕時計メーカーであるフランク・ミュラーが、株式会社ディンクスのパロディ商品「フランク三浦」の商標登録取り消しをめぐって起きた裁判。2016年の知財高裁にて「三浦は漢字を含む手書き風の文字が使われており、明確に区別が出来る(外観の相違)」「多くが100万円以上の腕時計と、4~6千円程度の時計とが混同されるとは到底考えられない(観念の相違)」として最終的にディンクス側に軍配が上がりました。
ただし、単純にパロディ商品であれば許される、というわけではないので注意しましょう。

【商標権を得るには】
商標権を取得するためは、特許庁へ商標を出願して商標登録を受けることが必要です。商標登録を受けないまま商標を使用している場合、先に他社が同じような商標の登録を受けていれば、その他社の商標権の侵害にあたる可能性があります。また、商標を先に使用していたとしても、その商標が、自社の商品やサービスを表すものとして需要者に広く知られているといった事情がなければ、商標権の侵害にあたる可能性がありますので注意が必要です。

一時期、「PPAP」や「ゆっくり茶番劇」等が関係ない第三者に商標出願されたとしてメディアに取り挙げられたことがあります。話題には聞いたことがあるけれど最終的にどうなったか、或いはどうなるか知らない人も多いかと思います。

このような明らかに悪質な出願に対しては、特許庁は下記の警告を発しています。

「最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵(かし)(欠点・不備)のある出願となっています。

特許庁では、このような出願については、出願の日から一定の期間は要するものの、出願の却下処分を行っています。

また、仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)には、商標登録されることはありません。

したがいまして、仮にご自身の商標について、このような出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようご注意ください。」

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