アーク溶接用シールドガス適正化装置 第2話 担当 赤尾恭央
2016年03月14日
「パルス式ガスフロー」の興味深い秘密
前回(第1話)は「レギュラシステム」の4大特長を説明しましたが、今回はその中でも核心的な「パルス式ガスフロー」について詳しくご説明します。
パルスとは、ご存じの通り高い値と低い値が短い間に交互に繰り返される現象で、電子回路などでも電気信号に対してよく使われます。アーク溶接においても、ピーク電流とベース電流を交互に流し、スプレー移行を作り出すパルス溶接が広く適用されています。
パルスは日本語では「脈動」とも訳されますが、「レギュラシステム」ではシールドガスの流し方を脈動させることを特長としています。脈動させることでシールド性を良好にすることは前回(第1話)も動画付きで説明しておりますので参照下さい。
φdとブローホールの相関
では何故、脈動流がシールド性を良好にするのでしょうか? まだ正式に立証されたわけではありませんが、一つの考え方があります。まずは下の資料をご覧ください。
資料.φdとブローホールの相関 |
(※ 図をクリックすると拡大表示します。) |
上図は過去にトヨタ自動車株式会社様が研究・発表された資料内容を抜粋し、見やすく編集したものです。これによると、シールドガスの高濃度状態部形状(φd)が大きいほど、ブローホールが発生しにくいと結論づけています。そこで下の前回動画の静止画をご覧下さい。
静止画.ガス流比較 |
静止画を比較すると、「パルス式ガスフロー」の方が明らかにφdが大きくなっていることが判ります。つまり、脈動流によって周囲の空気を巻き込みにくくさせ、φd が大きくなることでシールド性が良好になるというものです。実際多くのお客様では、溶接中のガス流量そのものを削減しても、品質に影響することなく溶接す ることが可能となっています。また、シールド性が良好になることで、スパッタ発生量やヒュームの付着が低減するなどの副次的な効果も多数確認されていま す。
写真.スパッタ粒径が小さくなった事例 |
1mm大のスパッタが激減した |
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