アーク溶接 第73話 アーク溶接技術講習とその紹介(1) 担当 高木柳平
2017年01月09日
本話より現行当社が実施しているアーク溶接技術講習について記します。座学講習と実際のお客様の溶接工程に入って行う現場説明から構成しており以下のような順序で対応させて頂いています。
【アーク溶接技術講習への実施順序】
1) 講習の必要性の確認
お客様にて実際に受講の必要性があるかどうかの確認を面談のなかでまずお聴きし明らかにします。
例えばお客様の溶接工程の、ある溶接部品において品質課題が発生し、その解決のために種々アドバイスをさせて頂くことが一般的には多い訳ですが、そこから一歩踏み込んで受講の希望があるかどうかを確認します。
2) 受講希望がある場合
お客様の判断で受講希望がある場合以下の項目について確認します。
①受講の目的 ②受講者数 ③受講時間(時間/日×受講日数)④座学or座学+現場
以下各項について説明を加えます。
■受講の目的
当社がお客様に提供するテキストには図073-01に概略を示すように基礎編(1)、基礎編(2)および品質改善編の3部作を基本としており、これらを使用して受講者に説明するとともに、お客様の受講目的に極力沿った形で座学、現場各講習を実施します。
■受講者数
お客様の要望に合わせます。
■受講総時間
講師からの希望としては、例えば2時間ですべて教えて下さいと言われても「無理!」と答えます。受講して頂く訳ですからしっかり理解して頂きたいという希 望が講師サイドにはあります。そのため少なくとも1回2時間×2回の合計4時間を現状では要望しています。できれば2時間/回×3回を希望します。
■講習の形式
通常は「座学講習」を主体にします。しかしお客様によってはこの溶接工程のスパッターを何とか対策したいなどと言う場合「現場講習」が必要となります。最近も現場講習を組み合わせることによって改善への理解度が大きく深まる事例を多く経験しています。
小生も新光機器(株)に勤務して以来少なくとも120社以上に対し延べ200回以上の講習を行ってきました。その中で感ずるところを以下に2、3点記します。
①技術の伝承がお客様サイドで実施されているか
お 客様によって違いはありますが、かなり以前からアーク溶接を取り扱ってはいるお客様でも技術の伝承がしっかりなされていなくて、それらを引き継いだ方々の 戸惑いが多くみられると同時に、逆にお客様毎の良い癖は別として悪い癖が引き継がれている場合が見受けられます。再点検して機会損失を減らしたいもので す。そのような点検場所として受講を考慮して頂ければ助かります。
②現場溶接関連設備へのものの見方、考え方
本講習では三つの基本を強調します。いわゆるワイヤ送給・給電・ガスシールド性の3点における常時チェックです。これらの基本からお手持ちの溶接関連設備をチェックして頂くと理解が容易で、自信が持てるようになります。
③溶接作業指示書とその取扱い
溶 接作業指示書は事務所と現場をつなぐもので、溶接品質の維持には欠かせません。しかし、これらを重視されていないお客様も見受けられます。日々の改善の取 り組みの中でより良い「作業指示書」を事務所、現場一体となって継続的に書き換えながら適用し、品質の維持、改善に役立てましょう。
次話では基礎編(1)における講習の要点を、日頃講習している立場から何点か抜粋し説明を加えます。
以上