品質管理技術 第5話 良品しか出来ない工程づくり! 担当 津守正己

2015年02月16日

■ 品質は経営成り

 ものづくりに携わっている人は誰でも不良品をつくろうとは思っていない、全てが良品と信じ仕事をしている。しか し、現実には100%良品でなく1日に数個・数%の不良が出来てしまい生産効率を阻害する。また、それだけでなく手直し工数の増加・廃却品の増加等々で品 質損失コストをUPさせてしまっている。何とか不良を減らそうと日々努力するがモグラ叩きで時間を浪費するも不良「0」にはならない。また、昨今自動車関 係ではコスト改善策として部品の共通化が進み、リコールともなれば数百万台と信じられない数値を目にする。それもあってかメーカーは増々要求する品質を厳 しくせざるを得ないのが現実である。

 企業として存続して行く上で品質は避けては通れない。昔から私は「品質は経営成り」といい続けてきたのは間違ってはいなかった。

 

■ 発想を変えての品質改善

 それでは、不良品をつくろうと思っても出来ない工程づくりはどうすれば出来るのか? 発想を変えて考えてみよう。

 目標が不良率の半減・桁ちがい品質 ―― と言ったものであれば、モグラ叩きでもある程度の改善は見込める。しかし、目標「0」となると改善の発想を根本から改め「良品しか出来ない工程づくり」が必要となる。

 

■ 守りの品質から攻めの品質へ

 不良の現物を解析し手を打つ(モグラ叩き)改善から逆に多く出来ている良品は何故良品になったのか?? 良品が生まれた条件を見つけ出し(これが良品条件)この条件を管理すれば必ず良品が出来る筈 ―― この発想である。

  しかし、多くの企業ではこの様な活動を展開するだけの人的余裕もない。そこで特に不良を無くしたい工程を選び、これをモデル工程(モデルライン)としてカ ンバンを掲げみんなで活動する「モデルライン活動」を推奨したい。これは、人材育成にも効果が大きく、モデルラインで実施した事例は自分の工程に持ち帰り 横展開する事も出来る。まさに一石二鳥である。

 良品条件を守っているのに不良品が出来た場合は良品条件に抜けがあった為で、すぐ条件に追加すれば良い。

 この積み重ねは企業の財産となって行くが、モグラ叩き方式では財産となるノウハウも人材も育ちにくい。

 次回は少し趣向を変えて「へら鮒釣り」を例に、究極のムダについての話をしましょう。

 

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