アーク溶接 第28話 ワイヤ送給装置とその取扱い(1)  担当 高木柳平

2015年08月24日

 ガスシールドアーク溶接の3つの基本の一つは「スムーズなワイヤ送給を行うこと」と繰り返し強調してきました。

 お客様のアーク自動・ロボット溶接設備を点検させて頂く場合、溶接ワイヤ1次側コンジットワイヤ送給装置(図028-01参照)の順に進め、ロボットアームに搭載された「ワイヤ送給装置の日常点検はどのようにされていますか」と常に質問することにしています。多くは「ペイルパックワイヤを取り替えた時に点検する程度」という回答です。アーク溶接品質を良好に維持・継続するためにはワイヤ送給系の果たす役割は大きく、点検は毎日1回と決めて行ってください。このようにすれば、品質に自信をもって対応できます。

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図028-01 ロボットアーム上のワイヤ送給装置    ■送給装置周りが汚れている 「きれいにしましょう!」

 

 ワイヤ送給装置の取り扱いは機器メーカの取り扱い説明書およびそのアドバイスに従い実施することが好ましいが「日常点検の実際」については多く触れられていません。そこで「送給装置周り日常点検重要項目」を以下に記します。参考にして下さい。

 

【ワイヤ送給装置周りの日常点検項目】

1次側コンジットの接続は適正ですか、接続部などが不連続でワイヤにキズ、曲りを与えていませんか。

3点矯正器は付属していますか、また適正な矯正が行われていますか、ワイヤがローラ溝から外れていませんか。

ワイヤ径とローラ溝の再確認

④ 送給ワイヤはローラ溝にスムーズに入っていますか、加圧ローラを外し点検して下さい。ワイヤがローラ溝を逸脱したり、浮き上がったりしていませんか。(図028-02参照)

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図028-02 4WD送給装置周りのワイヤ異常    ■ワイヤの溝外れ、擦れはコンジット引き回し方法に原因があります。

 

加圧ローラは適正に作用させていますか、加圧力(荷重)が大き過ぎませんか、逆に小さ過ぎませんか

送給ローラと加圧ローラの隙間は送給ワイヤを挿入した時にチェックしておいて下さい。例えば、ほぼ新品時でコピー普通紙3枚分などです。ローラ摩耗の目安となります。

⑦ ワイヤ入口側ガイド部品、4WD送給装置では中間ワイヤガイド部品およびワイヤ出口側(受け口とも言う)ガイド部品が脱落していませんか、正常に装着されていても「受け口」の外観は良好ですか。

送給装置ローラ周りおよび下部に銅粉、鉄粉などが落下して赤く、黒くなっていませんか、そのような場合は早急に原因を探し対策して下さい(図028-03参照)

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図028-03 4WD送給装置周りの銅粉、鉄粉     ■直ちに異常と判定し、原因と発生箇所を見つけ対策してください。

 

スプール巻きワイヤを適用する場合、送給装置はどの向きに設置されていますか。20キロリール適用の場合、使いはじめと使い終わりに送給変動が生じていないことを確認して下さい(図028-04参照)

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図028-04 好ましくない送給装置取り付け例    ■スプール軸が軸受仕様でないとスプールワイヤの重量により速度バラツキを生じやすい。水平位置取り付けが好ましい。

 

⑩ スプール巻きワイヤの場合、リール脱落防止ストッパーを効かせているか確認下さい。リール落下による災害を防止して下さい。

 

 次回は送給装置とその取扱い(2)として加圧の掛け方、送給ローラの溝、細径ワイヤ送給におけるワイヤ受け口の重要性および送給ローラ周りの油脂分の必要性などについて解説します。

 

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