アーク溶接 第26話 溶接ワイヤとその取扱い(3)  担当 高木柳平

2015年07月27日

 本話ではパックワイヤから送給装置に向けてワイヤを引き出し、導く過程における取扱いとその要点に関し説明する。

■パックワイヤ専用台車、パックの置き場所

  一般的にパックワイヤは専用台車に搭載され移動する。パックワイヤは重量が大きいので吊る場合取手金具の水濡れによる強度低下などには注意すること。また 狭い溶接工程内にパックを収めようとして無理なコンジットチューブの引き回しにならないように置き場所には十分な配慮が必要。

 

■透明引き出し傘が適用され、バンド金具でしっかり固定されているか

 ほぼ円錐型の透明引き出し傘はその高さが350~400mmに設計されている。この高さは捩じりを入れて収納されたワイヤが捩じりを開放できる空間をつくっているの です。この段階で捩じりを開放できないとチップまで送給されそこで捩じり開放となりワイヤが暴れる要因になる。また、透明傘はパック本体にバンド金具で確 実に固定すること。固定されていないとワイヤの引き出し方向が定まらず、ワイヤ二段矯正器を適用しても線ぐせの悪いワイヤをコンジットチューブに送出して しまう危険が生じます(026-01参照)。

A026-01

▲ 図026-01 (二段目矯正器の矯正方向とコンジット方向をほぼ一致させること)

 

透明傘から覗いて引き出しワイヤはスムーズに反時計方向に引き出されているか

 パックから引き出されるワイヤの状態を観察し、スムーズに反時計方向に、引っ掛かり、踊りもなく回転しながら引き出されることを確認して下さい。

 

透明傘直上の引き出し金具は正常か

 パック底面に銅粉などがあれば、引き出し金具部でワイヤが擦れている証拠です。捩じりの開放に伴うワイヤの搖動により通常の真鍮製などの金具(026-02a)では擦れやすくメッキカス、キズを生じやすい。この点を考慮して026-02bにみるように高強度樹脂で製作した当社製引き出し部品(型式SG2)の適用を推奨します。
 皆様の溶接工程内のパックの数だけご使用頂きたいと願っています。

A026-02

▲ 図026-02

 

ワイヤ検出は銅粉を発生させない非接触式検出器の適用を推奨

 図026-03にみるようにワイヤ検出用リミットスイッチのレーバーをワイヤに直接接触させる方式が従来適用されていました。接触部の擦れにより銅粉が発生しやすく、キズが付き、ワイヤ表面の油分が拭き取られやすくなります。026-04のようなローラ式接触の場合も意外と多くの銅粉を発生させるのが現状です。これらを避けるため非接触式検出器(026-05)の適用を推奨します。

A026-03_05

 

ワイヤ二段矯正器の取り付けとその設定

 当社販売のパック直上取付け型ワイヤ二段矯正器の外観を図026-06に示します。この矯正器の目的はパックに収納されたワイヤの線ぐせを平準化しできるだけ一様な引き出しワイヤを得ることです。チップから出るワイヤの最終的な線ぐせは送給装置入口の3点矯正器により付与します。ではどのように矯正量を調整するか。パッ クに近い一段目の3点矯正器は二段目で矯正効果を得るためにワイヤに張力を付与するためのものです。ワイヤ径1.2Φの場合矯正量は1.5~2.0mmの 範囲で設定します。次に矯正効果を得る二段目の3点矯正器の押し込み量は1.2Φの場合1.2~1.6mm程度で線ぐせを確認しながら設定して下さい。ま た注意しなければならないのは二段目の矯正器の設定方向を026-01に示すように、接続コンジットと引き出しワイヤの線ぐせ方向をほぼ一致させることです。コンジットの中で踊りがなく良好な線ぐせのワイヤが得られます。

A026-06

▲ 図026-06 パック直上取付け型ワイヤ二段矯正器 型式「WS-1」

 

以上。

№ A026

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