アーク溶接 第25話 溶接ワイヤとその取扱い(2)  担当 高木柳平

2015年07月21日

 溶接ワイヤの形態は主にスプール巻きワイヤとペイルパック巻きワイヤに分類できる。本話ではペイルパックワイヤの取扱い上の注意点と考え方について説明する。

  大容量ペイルパック巻きワイヤ(以下パックワイヤと略す)の特長はその呼称のように1パック当たり250kg、300kgなどの大容量で、スプール巻きに 比べ取り換え頻度が少なく作業能率に優れることにある。一方パックワイヤは捩じりを入れながら収納され、引き出す段階で捩じりを開放しながら引き出され る。よって捩じり開放を阻害する下記禁止事例のようなことがあってはならない。

禁止事例
1) 引き出し専用透明傘の適用をせず、パック天盤に穴をあけ電気的に絶縁した金具を設けそこからワイヤを引き出す。
2) ワイヤ二段矯正器を透明傘の内側に取り付けること。
 これらの場合はいずれも捩じり開放がスムーズに行われないのでトーチ先端でワイヤが暴れやすくなります。

 これらを前提にしながら、パック巻きワイヤの取り扱いの要点を記します。

輸送時のワイヤ押さえ金具、段ボール類の取り外しは正常か確認
 
パッ クワイヤは収納段階で振動を付与し嵩比重を大きくするよう製造されており、トラック輸送時の振動、衝撃などによる収納崩れを防止するためワイヤ押さえ金 具、段ボールパッドが適用されている。それらを確実に取り外して下さい。取り外しが不完全であると思い掛けない引き出しトラブルにつながります。その一例 を025-01に示します。

A025-01

▲ 図025-01 パック内筒側に残った段ボールに引き出しワイヤが引っ掛かった事例(ワイヤ表面の油が段ボールに吸われている)

 

正常にワイヤが収納されているか、跳ね出し、もつれはないか

 まず、最初に目視で観察して下さい。収納ワイヤの上端にはワイヤ押さえが取り付けられており、引き出し時にワイヤ使用量に従って下降していきます。斜めになっていたりすると下降せず、引き出しワイヤの入り繰りが生じやすくなり「もつれ」などのトラブルにつながります。(図025-02参照)

A025-02

▲ 図025-02 内筒「なし」パックの外観例

 

適用パックの内筒の有無

*内筒「なし」の場合;内側収納ワイヤの収納性を確認(図025-02参照)

*内筒「有」の場合;内筒上端にキズ、凹みはないか確認(図025-03参照)

 これらの不具合(キズ、凹み)が生じていれば引き出し時にワイヤがスムーズに内筒周辺を回転できず、凹みに留まりながら引き出される結果、絞られ内筒に巻きつくなどトラブルにつながります。

A025-03

▲ 図025-03 内筒「有」パックの外観例

 

外側ワイヤ跳ね出し防止テープは正常にセットされているか

 引き出しワイヤは概ね内筒有無に拘わらず内側から引き出すタイプが多い(但し、外側引き出し方式も一部では採用されている)。内側引き出し時に外側からワイヤが跳ね出すトラブルを防止するため「跳ね出し防止テープ」が設けられている。これらが正常な取付けになっているか確認して下さい。(図025-02参照)
 
また、パック底面にむやみにモノを入れないように!025-02に示しましたが、底面をきれいにしておけば引き出し時のワイヤ擦れなどに伴う銅粉、鉄粉発生の場合には容易に観察ができるためです。

以上。

 

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